仁俠精神が米の文化を守るときじゃ!『実話ドキュメント』(平成23年12月)
- 横山孝平
- 8月14日
- 読了時間: 4分
守るべきもののために、これまでカラダ張ってシノギしてたもんが、ある日突然見たこともねェヤツから新たにシマ割りされちまうようなことが…。もう、カラダ賭けても、テキトーにシノギしててもみんな一緒って感じか…。これからは、押しつけられた基準の中でうまく儲けることを考えなきゃならねェ世の中になっちまうのか?
いままで築き上げてきた代紋のブランドも台無しになっちまうかも…。
引退した奴のことをとやかく言いたくねェけど、民主会の前の親方だった菅ちゃんが思いつきでブチ上げたTPP(環太平洋戦略的経済連携協定)ってヤツへの参加が、ドジョウ野田っちによって現実のものになりそうだ。
このTPPってヤツ、間単に言えば貿易に関してすべてのものに関税をかけずに取り引きしようって、アメちゃんたちが盛んに呼びかけてるヤツだ。ほかにも、金融や労働力受け入れとか、とにかく新しいアメちゃん型基準にみんな乗っかれっていう脅迫なんだ。
歴史とか伝統とか文化とか、そんなものを持たない組は、守らなきゃならねェもんがないから、新しい基準を作りたがる。それをまわりの組に当てはめちまえば、みんなスタートラインが一緒になるからな。そうやってこれまでも日本はキッチリ型にハメられていろんなものを失ってきた。「年次改革要望書」なんていって、毎年アメちゃんはこっちの綱領にイチイチいちゃもんをつけてきやがる。郵政の民営化とか、司法制度の改革とか、建築の基準とか、旬なネタでいうと「国際的組織犯罪に対する戦略」とかいって、マフィアも仁俠も一緒くたに叩いちまえってのもそうだ。これはまた別の機会にするけど、前の建築の問題でいえば「耐震偽装」なんて問題が出てきて、人の命と自分のシノギを天秤にかけて金儲けするヤカラまで生み出しちまった。あのカツラの建築士、いまはなにやってんだろう…。また同じようなことが起きねェように、すべてあちらさんの都合に合わせるんじゃなくて、こっちはこっちの誇りとか利益でものごと決めねェと、ますますアメちゃんの支配から逃れられなくなっちまうんじゃねェか。
今回のこのTPPってやつで、一番の影響を受けるのはどうも農業のようだ。関税が撤廃されるってことは、輸出が成長するし、逆に言えばいろんな輸入品もオイラたちの手許に安く入るようになるだろう。こんな不景気な時代には助かるはなしかも知れねェが、どうもこの話は単純じゃねェ。
なんといってもオイラたちの食を支えてくれる農業だ。昔からお米にはたくさんの神様がいるから、粗末にしてはいけませんって、オイラのパパやママが教えてくれた。言ってみりゃ、日本の伝統文化の象徴だ。政府もこれを守るためにいろいろな政策で保護をしてきた。昔は稲作農家を守るために、国がその米すべてを買い取っていた時代もある。いまは、たとえば米を日本に輸出する外国は、税金として米の価格に700%以上の税金をかけている。単純考えても輸入米を買うよりは、日本のお百姓さんが作った米のほうが、オイラたちには安く手に入れられるって算段だ。もちろん、高いカネ払って、外国のマズイ米を買うバカはいない。
で、問題はこの700%の税金が無くなったときにどうなるかだ。日本の米がウマいってことは、世界が評価することだろう。といっても、肉とかイモばかり食ってるアメちゃんにはわからねェか? 先人の知恵と努力に、現代の技術を合わせて作られた米があれば日本人は生きていける。税金が撤廃されても、外国産の安い米を買うくらいなら、少しくらい高くても日本の米を買うだろう。でもさ、けっこうキツい経済状況の中で、背に腹はかえられねェってこともあるだろう。そのとき、日本の米はどうなる? アメちゃんがクシャミをすれば、日本がカゼをひくってくらいの親密さだ。アメちゃんのサイフの中身を見りゃ、日本の経済も一緒ってことだ。そこまでアメちゃんに付き合うか?
ここはひとつ、世界基準だなんだと言う前に、まず米の文化を守るための戦いをしなきゃならねェと思うぜ。『下町ロケット』なんて本もあるけど、日本の下町の工場の技術がなきゃ、アメちゃんもNASAでロケットを飛ばせねェ時代だ。政治家さんも卑屈になってねェで、米のことでグダグダ言うんなら、こっちのロケット部品は売ってやらねェぞ! ってやりゃいいんだ。それも交渉だろ?
そうやって強いところでどんどんシノいでいって、一家うちではみんなで団結してお百姓さんを守る。昔から一宿一飯の恩義ってことばもあんだろ。いままで世話になった米一粒の恩義に報いなきゃ、男がすたるってもんだ。
弱きをたすけ、強がっているアメちゃんを徹底的にねじ伏せてやれ。
歴史も伝統もねェマフィアのアメチャンを挫くのは、やっぱ日本の仁俠精神じゃ!