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暴力も時代によってかわるのか?『実話ドキュメント』(平成25年3月)

  • 執筆者の写真: 横山孝平
    横山孝平
  • 8月19日
  • 読了時間: 5分

 オイラがまだ明るく素直な野球少年だった頃は、監督に殴られても「ありがとうございます!」なんて言ってた。〝愛のムチ〟なんて言葉もあったな。先輩からのケツバットは日常茶飯事で、椅子に座るのがイヤになるくらい腫れあがったもんだ。そのトラウマか? いまじゃ、おネェちゃんのオシリをペンペンするのが好きだ! 野球とは関係なくても、先輩のムシの居所が悪けりゃ殴られ、蹴られ…。オイラは、伝統を守る主義者だから、先輩と同じように後輩をボコボコにしたけどな。


 野球自体もド根性主義ってヤツだったね。炎天下の練習で「水を飲むな!」って、いまから考えりゃおかしなもんだったよな。当時でも、世間じゃゲータレードとかポカリスエットなんて、水分補給飲料なんてのが発売された頃だったのによ。便所の水を飲んでた仲間もいたな。先輩には、タップリ水をしみこませたタオルをもっていくんだ。先輩はそれをすすって水分を摂る。オイラのツバも入ってたけどな…。


 いまじゃオイラを殴った先輩や、オイラが殴った後輩とも笑ってその時代を話せるけど、つい先日、将来そんなことが出来なくなっちまった子がいたな。野球じゃなくバスケットだったか? 監督の体罰ってヤツに辟易しちまったんだろうな。少なくともキャプテンとして責任感を持ってやってた子が、死を選ぶってのは、尋常なことじゃねェぞ。「今日は何十発殴られた…」なんて、母親に話してたらしいな。顔が腫れあがったり、口元が切れてたっていうじゃねェか。この事件には考えさせられることが多いな。


 昔の軍隊もそんな体質があったようだ。手で殴るのは痛いからってんで〝精神注入棒〟なんてのが登場したりな。精神主義ってのはオイラも好きだし、大事なことだと思うけどよ、それが行き過ぎりゃ、生きることがツラくなっちまうってもんだ。戦う相手が違うよな。敵のタマ殺ってナンボの戦争だろう。抗争だってそうじゃねェか。タマがデカけりゃデカいほど、勲章もデカいってもんだ。でもよ、仲間に〝精神注入〟してる間に、デッカイ爆弾落とされちまったり、親分を殺られちまったら、元も子もねェだろ。あげくの果てには「暴力反対!」なんて兵隊が言い出したら戦争や抗争どころじゃなくなっちまうじゃねェか。軍隊もヤクザも暴力が背景になきゃメシは食えねェんだからな。むかし『兵隊やくざ』って映画もあったじゃねェか。これはちょっと違うか?


 まぁ、軍隊や盃関係にあるヤクザには、その死に方もあらかじめ決められてるようなもんだから、話は別だけどよ。これだって、暴排だなんだとやかましい今の時代じゃ、変えていかなきゃならなかったりするんだろうけどな。それを学校やスポーツの小さな世界で、やっちまったら問題になるのは当たり前だよな。ましてや「暴排」みてェな「条例」じゃなく「暴対法」とおなじ「法律」のなかの「学校教育法」ってので体罰は禁止されてるらしいじゃねェか。ヤクザじゃねェんだから、先生は法律くらい守れよって感じだよな。エロい犯罪だって教師や警官の割合が多いし…。昔は「ゴメンナサイで済めば警察はいらないのよ」なんてママに怒られたけど、いまじゃ警察が「ゴメンナサイ」って、誤認逮捕を謝るくらいだからな。これも時代か…。


 教師の体罰なんてものは、立場が上の人間には刃向かわねェっていう、日本人の美徳を逆手に取った嫌がらせ、関西で言やぁ嫌キチ以外のなにものでもねェんだよ。最近の言葉でいうとパワーハラスメントだ。オイラが得意なセクハラじゃねェぜ~。そしてなんども言うけど、時代も違うんだ。


 元巨人軍でメジャーリーグにも行った桑田投手がこの事件についてけっこう良いこと言ってたな。

「体罰は(指導者の)勉強不足による安易な指導方法で決して強くならない」

「極限状態に追い詰めて成長させるために、と体罰を正当化する人がいるかもしれませんが、殴ってうまくなるなら誰もがプロ選手になれます」「私は、体罰を受けなかった高校時代に一番成長しました」

「愛情の表れなら殴ってもよいと言う人もいますが、私自身は体罰に愛を感じたことは一度もありません。伝わるかどうかわからない暴力より、指導者が教養を積んで伝えた方が確実です」


 現実に大舞台で活躍し、引退後も節制している人が言うんだから間違いねェんだろう。それだけじゃなく、ケガから復帰したときには、脱帽してピッチャーマウンドのプレートにケガが治ったヒジを付けて〝野球の神さま〟に祈った精神的なモノも持ち合わせてもいるからな、ただの現代人の思考でもなさそうだ。


 炎天下で水も飲ませてもらえなかった時代から、いまじゃ、こまめに水分補給をしろと命令される時代。科学的トレーニングなんてのもある。熱血教師という言葉が死語になっちまうのは、すこし寂しい気もするが、それも時代なんだろ…。暴力とか、差別とか、世の中の不条理みてェなところから、ヤクザが生まれたようなところがあるけど、時代の中でそんなものが淘汰されていくと、やっぱりヤクザになる若者もいなくなるのかね?


 子供と友達のように接して殴りつけることもない親と、学校では体罰が禁止される時代に育つ子供たちが、無菌状態で世の中に出ていくってのは怖い気もするな。少しは痛い思いもしないと、他人の痛みもわからねェからな。テレビゲームが戦争に直結するような時代だから、痛みなんて知らねェほうがイイってか?それもあんまりだよな。


 教師が生徒を死に追い込むような暴力は罪だが、ビンタ一発くらいは許容範囲だろう。その前に、親がしっかりと子供を躾けるべきだな。それが出来ずに虐待に走っちまった親には、罰としてヤクザの預かりにして、疑似親子関係のなかで修行させるってのはどうだ。業界の存在価値も大きくなるぜェ~。ヤクザだから暴力もOKだしな! えっ? 警察に逃げ込まれたら? 嫌な時代だな…。

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